1 品質工学と品質工学の歴史
品質工学とは何?
技術に対して現在切実に求められている課題は、3つある
第1に低コストの製品を開発する事
第2にクレームの出ないようにする事
第3に開発速度を速める事
問題は、こうした課題をいかに解決し、企業経営に寄与し、同時に社会に貢献する技術を
実現するか、ということにあります (特許)
上記3項目を同時に解決する為の最適条件を得る事が出来る
技術的方法論 が
品質工学です
すらわち 品質工学は、コストを上げずに機能のばらつきを減らし、生産性の向上を図る
ための 工学的手法 である
品質工学の歴史
品質工学の発展経緯
1950〜 1970年代 −田口流 実験計画法 直交表の使用
・外側への因子の交互作用解析
1980年代 −パラメータ設計 ・ノイズ導入・SN比導入
(静特性) ・2段階設計
1990年代 −品質工学 2段階設計の拡張 ・基本機能の導入
(動特性)
現在では、品質工学は、使用条件や環境条件のばらつきに対して強い技術(設計)に
するための強力なツールとして体系化されている
2 田口玄一氏 プロフィ−ル
日本規格協会参与・九州大学理学博士・タグチメソッドを世界に広め、
1997年米国自動車殿堂入り
1962年、九州大学理工学博士・電電公社通研・インド統計学研究所・プリンストン大学・青山学院大学等に勤務
日本規格協会参与、品質工学フォーラム会長
主な受賞歴
60年 デミング賞
86年 ロックウエルメダル(米国際技術協会)
88年 国際科学技術殿堂入り。
89年 藍綬褒章
92年 設計工学賞(ASME)
96年 シューハートメダル(ASQ)
97年 日本統計学会賞
品質工学は,日本では1980年代にその価値が認識され,その後各分野の技術者
研究者に支持され,発展してきました
今日では,機械,電気,化学,農学,薬学,医学など幅広い分野に応用され大きな成果を上げている
1993年に学会組織としての「品質工学フォーラム」を設立,1998年から「品質工学会」に改称し推進を図る
アメリカでは品質工学に対する評価は日本以上に高く,"タグチメソッド"と呼ばれ,
1980年代のアメリカの技術停滞を打ち破るのに大きく貢献したと言われている
3 従来の考え方・改善方法
従来の考え方

これは多くの品質特性に対して、確認実験を行なって問題点を見つけ出し、問題点を
フィードバックして修正していくといった確認修正型である
このやり方は、1つの品質特性を改善すると、他の品質特性が悪くなったりして、
なかなか品質問題が解決せず、開発期間が長くかかる
(品質特性に関わる副作用エネルギーは、互いにエネルギーを交換するという法則があり
特定の品質特性だけを改善しても、本当の改善にはならない)
又、決められたテスト条件で正しく機能する事が確認できたからといって
全ての条件で正しく機能するかは不明
そういった物が市場クレームとして戻ってきて、その対策の為さらに開発期間を長くして
しまう事になる
又、開発期間が長くかかるということは、それだけ開発コストがかかるという事で、
技術が急速に進歩している現在は、時間をかけて開発していたのでは、商品の寿命が
短くなるといった収益に関わる問題も発生する
改善方法

この開発方法は技術開発の段階で、機能の研究だけでなく、ノイズ(機能をばらつかせる原因)の
影響を受けにくくする安定性の研究を実施するというものある
このノイズに強い設計を行なう事を ロバスト設計
と呼んでいます
技術のロバスト設計ができておれば、商品開発は技術の組み合わせと、目的特性にする
為のチューニングだけですみます
品質特性をクリアするためのもぐらたたきループも解消し、設計工数の低減が図れます
また、ロバスト設計を行なっても、まだ目標とする安定性が得られない場合にのみ、
コストと品質のバランスを取りながら、部品のグレードアップや補償回路の追加を
行なう為、コストアップを最小限にすることが可能となる
ただし…
品質管理の関係で世界的に活用されている方法として
1 特性要因図
2 QFD(品質機能展開)
3 田口メソッド(TM) の3つが挙げられると思われる
特性要因図は石川博士によって考案され,海外ではイシカワ・ダイヤグラムとして知られている
この方法は 結果と原因の関係を整理する手法として用いられている
QFDの原形をたどると特性要因図までさかのぼり,この意味から考えるとQFDは因果関係を把握する
システムと捉えることができる
田口メソッドは名前の通り田口玄一博士によって考案され,実験計画法(DE)の発展形として
設計値の検討に有効な方法と考えられる
しかしながら設計する要因の選定方法は過去の経験によって技術者に蓄積されている
知識によることになる
一般的に実験すべき要因などは特性要因図による洗い出しが考えられるが,
どの要因を実験に取り上げるかについては試行錯誤的に決定するか,
シミュレーションによって決定するかであり,効率よく要因を抽出する方法は示されていない
4 品質工学の品質の定義
ある製品が自企業の手を離れてから、他人に与える有形、無形の損失を言う
上記は 次の要素の和で定義している
機能のばらつきによる損失+使用コスト+弊害項目による損失(騒音・振動・副作用など)
上記が小さいものが 品質水準は高いという
しかしながら、品質の良いものを作る生産コストが高くなっては、価格の跳ね返り競争力
を失う為に 生産コストも含めた評価が必要である
生産上のコストは 材料費+加工費+管理費+生産上の弊害項目
である
品質工学の目的は、出荷前の損失と出荷後の損失の和を小さくする事である
機能
本来あるべき機能を 理想機能 という
たとえば 新幹線の理想機能は 時速200kmのスピ−ドで
乗客を目的地へ早く運ぶ
これが 理想機能である
しかし 大雪が降ったり 大雨が降ったり 地震があったり
すると 100kmのスピ−ドで
走るのがやっとである 又はひどいと停止する
この大雪・雨・地震 これが 品質工学ではノイズとよぶものである
新幹線は 誰にきいても 殆どの人がすばらしいと答える
しかしそれは人の価値観であり
品質工学で言う 品質とは又別のものである
損失
たとえば 毎日大阪へ新幹線で一日1万人運ぶとする
一人13000円として
10000×13000=130000000 (一億3千万)
しかし 大雪や大雨で100kmでしか走れなくて一日5000人しか運べないとすると
5000×13000=65000000(6千5百万)である
損失は 一億3千万−6千5百万=6千5百万である
品質
つまり 理想機能が 200kmで走るならば それは
どんな大雪でも大雨でも線路が無くなら
ない限り 200kmで走れないと 品質は良いとは言わないのである
新幹線の 価値観はいいかもしれないが しかし品質工学で言う
品質は良くないのである
どんなノイズがあっても 理想機能を維持できるものを良い品質(品質水準が高い)という
5 機能のばらつきと損失
本来あるべき機能を理想機能という 100KWのモ−タ−の理想機能は、100KWの出力を
出す事である
しかしながら モ−タ−の出力が安定せずにばらつく事が考えられる
ばらつきの原因には 内乱・外乱・製造上のばらつきなどがある
内乱とは使用部品が公表値からずれている あるいは使っているうちに劣化などで設計値
からずれてしまうことをいう
外乱とは使用条件・環境条件の影響である
製造上のばらつきは 工程のばらつきによるものである
このように様々な原因によって、理想機能からずれるが、ずれる事による損失に対して
損失関数で経済的評価を行う事を考える
出力の目標値が一定値mである時、実際の出力特性がmであれば損失は0である
L(m)=0
実際の機能特性がyである事による損失L(y)とおく
比例乗数をkとする
L(y)=k(y−m)^2
すなわち品質、特に機能のばらつきによる損失は、ずれの2乗に比例する
これを損失の2乗則という
比例乗数kを決めるもっとも重要な情報は 機能限界Δ0と機能しなかった時の損失A0の
値で求める事である
L(損失関数)=A0/Δ0^2(y−m)^2
製造工程で製品を不合格にする許容差をΔ その時の損失をA(廃棄か手直し費用)として
A=A0/Δ0^2×Δ^2
さらに許容差Δは安全係数をoとして Δ0との間には
Δ=Δ0/ o
安全係数は
o=√A0/A
A0 機能限界外になったときの平均損失
A 工業規格を割ったときの工場の損失
使用材料の経済的損失
安全係数を求めるのには A0とAが必要である
Aは使用する部品が不合格になり廃棄や手直しをした時の損失であるから、使用する
部品のグレ−ドと大きく関わってくるもので
グレ−ドが高くなれば部品単価も高くなる
又手直しコストも高かるなるのが一般的である
このような場合製品設計段階では様々なグレ−ドのものを用意し、その中から最適な物を
用意し、その中から最適なグレ−ドのものを選ぶ事が必要である
4種類のプラスチック材料を選ぶのに検討したもので
下記設定とする
製品の機能限界Δ0300μm・市場で製品が機能しなかった時の損失A0は25000円
設計寿命を10年・使用される温度条件の標準偏差σ0は20度とする
S1の場合温度係数bは8μm/℃、劣化係数は20μm/年であった時の分散σ^2は
σ^2=b^2σ0^2+s^2×T^2/3=8^2×20^2×10^2/3=38933μm2
材料 温度係数bμm/℃ 劣化係数sμm/年 使用環境下の分散σ2乗
S1 8 20 38933
S2 5 10 13333
S3 2 4 2133
S4 1 4 933
使用環境下の目標値からのばらつきによる損失は
Q=A0/Δ0^2×σ^2
S1の場合は 25000/300^2×38933=10815 これが品質水準である
この材料価格Pを140円とすれば 材料のS1の総損失Lは
L=P+Q=10815+140=10955 円 として求められる
材料 価格P 品質水準Q 総損失L(P+Q)
S1 140円 10815円 10955円
S2 300円 3704円 4004円
S3 520円 593円 1113円
S4 1100円 259円 1359円
上記の表から 損失の最も少ないのは S3である
材料が規格を割った時 その材料を廃棄するとすれば
安全係数はいくらになるか
但し Aは520円とし機能限界Δ0 300μm 市場で製品が機能しなかった時の損失A0は
25000円とする
o=√A0/A=√25000/520=6.93・Δ=Δ0/ o=300/6.93=43μmとなる
6 工程管理とそのコスト
品質工学では 出荷前の損失 と 出荷後の損失の
和 を小さくする事をであると示した
出荷前の損失は、生産コストである
生産コスト=材料費+加工費+管理費+生産上の阻害項目(公害など)
である
上記で 材料費・加工費・公害コストは、製品や工程の設計段階できまるが、管理コストは
生産部門の日常工程管理の改善によるところが大きい
機能ばらつきの原因の一つに工程のばらつきがあった事を考えれば、ばらつきの無い製品を作る上でも
製造工程の管理は重要なテ−マ−である
工程の管理コストは
1 管理を行う為のチェック(計測)コスト
2 工程を望ましい状態にする、又は製品を調整する為などの処置によるコスト
がある
管理のやり方によって、製造される製品の品質水準が影響を受け、管理コストが影響を
受ける
従って 品質水準と管理コストの和を小さくする方法を考える必要がある
多くの場合は,両者のバランスをとる事につながる
重要なのは、ある管理方法によるコストが、品質水準より著しく大きければ、管理過剰で
あり、その反対ならば管理不足という事になる
一般に生産部門は、製品の品質特性を計測して、工程を制御する事を行う
ある決められた値より、大きくなったり小さくなったりした時、正常な製品が出来る用に
工程を調整、そうでない時はそのまま生産を続ける
このシステムを フィ−ドバック制御システムとよぶ
製品が目標値からずれているかどうか知る為には計測が必要であり、目標値からずれてい
れば調整が必要となる これからの事を行うには経費がかかる
この経費が管理コストである
7 管理コストと品質水準
品質水準は 製品の目標値からのずれの2乗に乗数kをかけた値で求められる
これに管理コストが考慮されれば生産工程の設計を行う事が出来る
以下に設計を行うに当たり、パラメ−タ−を下記のように定義する
目標特性の規格値:m±Δ m±40μm
不良品損失:A円 350円
計測コスト:B円 120円
調整コスト:C円 500円
現行の計測間隔:n0 120個
現行の平均調整間隔の観測値:u0 120個
現行の調整限界:D0 ±10μm
計測方法のタイムラグ:l l = 2個
最適計測間隔:n
最適調整限界:D
平均調整間隔の予測値:u
測定誤差標準偏差:σm σm=0 とする
今ある部品の直径の規格がm±40μm
これが不合格になった時の損失が350円
この部品を現在一時間に一回計測している
現行調整限界±10μmでコントロ−ルしている
一時間あたりの生産量は120個の工程がある
計測コストは120円である
計測誤差はは無視できる
タイムラグは2個である
調整限界を出た時のコストは500円である
平均調整間隔は一時間である
この工程の現行での損失と最適化をした場合の損失を比較してみる
上記の設定での現行損失は
総損失
L0=B/n0+C/u0+A/Δ^2(D0^2/3+((n0+1)/2+l))D0^2/u0+σm^2)
=計測コスト+品質水準(調整コスト+品質水準)
=120/120+500/120+350/40^2(10^2/3+((120+1)/2+2))10^2/120+0)
=1.00+4.17+18.68
=5.17+18.68=23.85(円/個)
計測コストは5.17円 品質水準は18.68円
最適計測間隔
n=√2u0/A × Δ/D0=√2×120×120/350×40/10=36.28
約36(個)
最適調整限界
D=(3C/A×D0^2/u0×Δ^2)^1/4=(3×500/350×10^2/120×40^2)^1/4
=8.69 約9μm
最適化後の平均調整間隔の予測値
u=u0×D^2/D0^2=120×9^2/10^2=97.2
約97(個)
以上からの最適条件での総損失は
総損失
L=B/n+C/u+A/Δ^2(D^2/3+(n+1/2+l)D^2/u+σm^2
=120/36+500/97+350/40^2(9^2/3+(36+1/2+2)9^2/97+0)
=3.33+5.16+9.65
=8.49+9.65=18.14(円/個)
計測コスト8.49円 品質水準9.65円
1個あたり23.85−18.14=5.71(円/個)改善となる
従って現行管理コストは B/n0+C/u0 である
120/120+500/120=1.00+4.17=5.17円
品質水準18.68円−5.17円=13.51円 現行は品質水準が高いという事である
これに対し最適管理システムでは
120/36+500/97=3.33+5.155=8.49円
品質水準 9.65円−8.49円=1.16円 最適条件では品質水準で1.1倍でしかない
従って現行システムはバランスの悪さが損失を大きくしている事が分かる
8 安定性評価とSN比
信号と誤差
入力を信号因子といい 入力の影響を妨げる原因(ノイズ)を誤差因子という
品質工学でいう安定とは信号の影響は受けるが、ノイズの影響は受けない事で
その確実性をSN比という測度で評価する
入力と出力の対応が問題になる特性を動特性という
特にはこの動特性の評価・改善を行うのが 目的といっても良い
入力と出力は簡単な比例関係をもっている事が多く代表的な例が比例関係である
しかし 比例関係が確実であれば問題ないのだが、実際には様々な誤差条件によってこの
関数は変化する その関係は精密に求める事はしないで、ずれをひとまとめに考えるのが
一般的である
入力である信号因子をMその時の出力をyとした場合
eはノイズなどによる不確実な部分
で 比例関係から見れば誤差である 比例乗数をs
とすると出力yは下記の式となる
y=sM+e
簡単なSN比とその求め方
2乗和の分解と誤差評価
SN比を求めるには 2乗和の分解という作業をしなければならない
たとえば メッキ工程がある。 メッキ厚を管理する時、厚さが目標値からずれていれば、
処理時間を変えて調整しているメッキ厚の変化は、処理時間の変化に対応していなければならないすなわち
処理時間は信号である
品種が変わっても同じ処理時間で同じ厚さが得られるのが都合が良い
そういう意味では品種は誤差因子になり得る
ただメッキ厚は1つの製品内の場所による
違いもある為、場所の違いを誤差因子としてもよい
例を下記に示す
処理時間を M1=3分 M2=5分 M3=7分 と処理時間を
信号因子とした
メッキ厚を各4個所ずつ測定した
現在の処理条件をA1 新しい処理条件をA2として
下記のデ−タ−となった
動特性の為のデ−タ−
M1=3 M2=5 M3=7
A1 2.97 3.57 6.14 4.29 5.72 7.94
4.06 2.57 3.91 5.37 5.29 7.68
A2 6.37 7.38 12.55 9.00 16.29 13.18
8.97 5.66 10.18 11.87 15.09 12.39
全2乗和・自由度・線形式・2乗和の分解
M1=3 M2=5 M3=7
A1 2.97 3.57 6.14 4.29 5.72 7.94
4.06 2.57 3.91 5.37 5.29 7.68
和 13.17 19.17 26.63
A2 6.37 7.38 12.55 9.00 16.29 13.18
8.97 5.66 10.18 11.87 15.09 12.39
和 28.38 43.60 56.95
本来仕事量(パワ−)は2乗の世界で計られる
すべての要因がなした総仕事量を全2乗和で求める
これを全変動とも言い STで表す
A1について検討する
全2乗和ST=2.97^2+3.57^2+…・7.68^2=327.6115
何個分のパワ−かというと
4個×3種類=12である これをf で表し f=12
となる これを自由度という
自由度とは独立した2乗の個数をいう
メッキ厚を y 処理時間をMとすると y=sM+e
sは単位時間あたりのメッキ厚への影響、e は比例関係からのずれである
ここで 信号Mと出力y で1分あたりのメッキ厚への影響sを推定する
s=(M1y1+M1y2+M1y3+M1y4+M2y5…M3y12)/(M1^2+M2^2+M3^2)
上記を比例項の線形式という Lで表す 分母は
r で入力の大きさを表す
1つのMに対して4個のデ−タ−があるので
A1 s=(3×2.97+3×3.57+…・7×7.68)/4×(3^2+5^2+7^2)=0.9773
A2 s=(3×6.37+3×7.38+…・7×12.39)/4×(3^2+5^2+7^2)=2.1138
従って処理時間Mに対するメッキ厚yは
A1の場合 y=0.9773M
A2の場合 y=2.1138M
で メッキ厚に対する効率は A2がよさそうである
2乗和の分解
信号による効果の大きさ又は信号による変動を
Ss という
Ss={M1(y1+・・y4)+M2(y5+・・y8)+M3(y9+・・y12)}^2/n(M1^2・・
M3^2)
= (3×13.17+5×19.17+7×26.63)^2/4×83=317.1108(f=1)
上式の自由度は 1 である
誤差項の2乗和を Se という
ST=Ss+Se
Se=ST−Ss=327.6115−317.1108=10.5007(f=12−1=11)
上記のST=Ss+Se が2乗和の分解という
2乗和の分解(A1の場合)
Source f S V
s 1 317.1108 317.1108
e 11 10.5007 0.95461
T 12 327.6115
2乗和の分解(A2の場合)
Source f S V
s 1 1483.4615 1483.4615
e 11 27.4048 2.49135
T 12 1510.8663
Vの欄は変動Sの自由度で割ったもの 分散という
2乗和の分解で求められた誤差変動Seを自由度で割った誤差分散Veが、誤差の2乗平均
に当たるもので σ^2 を求めた事になる
言いかえると メッキ厚yが処理時間Mに比例する部分からのずれであるから、小さい方が
望ましい これだけを比較すれば A1の方が小さい
しかし A1が即座に良いとは言えない
同じ信号の範囲でとったメッキ厚なのに A2の方はA1に比べて2倍の厚さである
デ−タ−の存在範囲が2倍も離れたものの誤差分散を単純に比較するのは公平ではない
SN比
誤差分散をそれぞれの比例乗数sの2乗で割れば比較のものさしが揃う
SN比 η=s^2/σ^2 である
この対数の10倍をデシベル(db)単位のSN比という
比較の場合は 主としてデシベル単位の方を用いる
デシベルにする前のSN比は生の値
とか 真数 という
SN比の求め方
η=10 log×{1/r×(S s−Ve)}/Ve で求める
但し rはM1^2+M2^2+M3^2・・でSN比の式では有効除数ともいわれる
この場合は n=4 4つのデ−タ−が存在する為に
4×(M1^2+M2^2+M3^2)=332
で計算する
計算結果
η(A1)=10 log0.998=−0.01db
η(A2)=10 log1.790=2.53db
大きな差ではないが A1の真数は0.9977でA2のほうが
真数で1.78であるから
1.78/0.9977=1.784倍安定した条件である
従って直線性の不安定さで生じたトラブルによる損失が1/1.784に減少するという事で
ある
比例定数調整後のばらつきが小さいかどうかは、SN比が大きいかどうかである
SN比が重要視さえっるのはこのためである
従って設計段階では SN比を向上させる研究をする
比例定数の調整が必要ならその後調整すればよい
これを 2段階設計法という
9 感度
2段階設計法では SN比のほかに 感度Sを求めておく
S=10 log 1/r(S s−Ve)
S(A1)=10 log1/332(317.1108−0.95461)=10
log0.952262=−0.2124(db)
S(A2)=10 log1/332(1483.4615−2.49135)=10
log4.46=6.49335(db)
真数A1 0.99513 A2 4.46
という事は 4.46/0.99513=4.48倍 A2の感度が言いという事である
SN比は大きい方が良い 比例定数sについては
ちょうど良い値がある事が多い
この比例定数sは単位時間あたりのメッキ厚への影響を意味するから
大きい方が良い
ただ 感度も高い方が良いかどうかは 別もので
感度は 言いかえると 自動車のブレ−キで
いえば ちょっと踏んで 利くのと たくさん踏んで利くのと
どちらが良いかという事で
ある これは ちょうど良い踏み具合で 利いた方が良いわけで
従って 感度が高い方が
よいということにはつながらない
このメッキについては 短時間あたりのメッキ厚の感度が高いという事である
メッキの場合は この感度がどう影響するかは
今回の参考問題では 予測は出来ない
結果として A2方法がA1より SN比で見て 1.78倍効率が良いという予想が考えられ
感度は4.48倍である という結果である
感度が高くても 問題なければ A2の方法がA1よりベタ−であろう
10 動特性の応用
日常の生産における調整性の評価方法として、動特性のSN比の意味を説明してきた
しかし良い工程条件が確立して、製造では目標値通りのものが出来ても、出荷先で
すぐだめになったり 使用環境によってうまく作動しなかったりしたのでは、品質の良い
製品であるとはいえない
これらを防止するには製品そのものが、劣化や使用環境などに対して安定な機能をもつか
という観点で設計されているかどうかがポイントである
ここで示した動特性の考え方は、結局入力と出力の確実性を計る事であるから、機能評価
の分野に応用できる
たとえばエンジンの場合などは 品質には 燃費・振動・騒音・故障・公害などがある
それらの品質はマネジメントにとって非常に大切である
良いマネジマントとは 自由にやらせて結果で評価する事だといわれている
マネジャ−でない技術者や製造部門は品質を自分で改善する事が重要で、その為の手段が
図面スペックと生産方法である
生産技術は出来るだけ図面通り、スペック通りのものを作るのが目的であり、図面通りに
出来たか、スペック通りにできたかを製造時に評価する
しかし生産技術も、日常の生産活動も生産時に計測できる特性値しか
改善できない
出荷時に製品が消費者の様々な使用条件の差でトラブルを起こしたり、数年後に故障する
などは製品設計の問題である
品質工学では基本機能の機能性の確実性を評価するのに非常に有効である
用語 分類 類義語・関連語 説明
因子 製品や製造工程に影響を及ぼす変数
誤差因子 部材のばらつき、などにより機能が変動する因子。管理や調整ができない因子。
信号因子 出力を調整させる為に使用する因子
制御因子 設計者が自由に変化させられる因子
オフライン品質工学 品質改善を製造ラインから
離れたところで行おうとする手法
パラメーター設計 低コストで性能を最適化する為の設計定数の中心値を決定する方法
内部パラメーター 設計パラメータ 製品の特性を決定づける設計定数
許容差設計 設計者自身で公差の適正さを調べる事のできる方法
直交配列表 求めるべき多くの要因の効果を少ない実験回数で、再現性よく求められる
よう工夫された数表
内側直交表 主として求めたい要因を割り付けた直交表
動特性 システムなどの出力が入力の大きさに対応して変化する特性
動的SN比 幅広い条件で使用したとき、製品や技術の機能がどれだけ安定しているか
を定量的に表す数値
損失関数 "品質"という曖昧な言葉を"経済性"で評価可能にした関数
空間的内部雑音 品物間ばらつき 全く同じ材料、部品、作業による製品であっても
発生する機能のばらつき
内乱 システムの内部で発生するノイズ、設計値のばらつきや摩耗劣化など
外乱 システムの外部から加えられるノイズ、環境温度や外部振動など
SN比 変動係数 目的特性の安定性を定量的に表した数値、大きいほど安定して
いることを表す
望目特性 目標値が与えられていて、それよりも大きくても小さくても悪い特性値
望小特性 負の値はないが、小さい方が良い特性値。例えば、磨耗量、曲がりなど
望大特性 負の値はないが、大きい方が良い特性値。例えば、増幅量、強度、収量
変動係数 ばらつきの相対的な大きさを表し、大きいほど悪い
感度 システムが信号に対してどれだけ敏感に反応するかを表す数値
ロバスト設計 外部雑音に影響されない頑強な製品・技術を設計するための手法
機能特性 製品や技術の機能そのものを幅広い条件下で評価するための特性
ノイズの調合 誤差因子を組み合わせ、実験規模を縮小する方法
要因効果図 因の効果の大きさを図で表したもの
設計パラメーター 内部パラメータ 製品の特性を決定づける設計定数
基本機能 製品や技術に真に求められる機能
品質 損失 製品を出荷した後、製品が社会に影響を及ぼす損失
ノイズ 誤差因子 システムの機能を乱す原